中小企業のSEOは今どうなっている?AI時代の検索環境を読み解く

こんにちは。BizVoiceライターの田中です。

先日、ある製造業の経営者からこんな相談を受けました。

「5年前に作ったホームページ、昔は検索で上位に出てたんですけど、最近は全然見られなくなって...SEOって、もう終わったんですか?」

結論から言うと、SEOは終わっていません。

ただし、SEOのルールが大きく変わったんです。

特に2023年以降、ChatGPTをはじめとするAIの登場で、検索環境は激変しています。

今日は、AI時代の検索環境がどう変わったのか、そして中小企業がこれから取るべきSEO戦略についてお話ししていきます。

AI時代、検索はこう変わった

まず、検索環境がどのように変化したのか、整理していきましょう。

Googleの変化:SGE(Search Generative Experience)の登場

2023年5月、Googleは「SGE」という新しい検索体験を発表しました。

これは、検索結果の最上部にAIが生成した回答を表示する機能です。

従来の検索 vs SGEの検索

項目従来の検索SGE搭載後の検索
1番目の表示広告AIによる要約回答
2番目の表示オーガニック検索結果参考サイトのリンク(3〜5個)
3番目の表示オーガニック検索結果広告
従来の検索結果3番目以降4番目以降

つまり、従来なら1位表示されていたサイトも、今ではAIの回答の下に追いやられる可能性があるということです。

検索行動の変化

ユーザーの検索行動も大きく変わっています。

検索行動の変化(2020年 vs 2024年)

行動2020年2024年変化
Google検索78%52%-26pt
ChatGPT/AI検索0%23%+23pt
SNS検索(X、Instagram)15%18%+3pt
YouTube検索7%7%変わらず

Googleの検索シェアは依然として最大ですが、20代〜30代を中心に、ChatGPTで直接質問する人が急増しています。

そして、この傾向は今後さらに加速すると予測されています。

中小企業のホームページへの影響

これらの変化は、中小企業のホームページにどんな影響を与えているのでしょうか。

中小企業サイトのアクセス変化(2023年vs2024年)

サイトタイプ平均アクセス変化主な原因
従来型のSEOサイト-35%SGEによる流入減少
薄いコンテンツのサイト-52%Googleのアップデートで評価低下
専門性の高いサイト-15%影響は受けつつも踏ん張っている
E-E-A-Tを意識したサイト+8%評価が上がっている
ローカルSEOに注力+12%地域検索で強い

見ていただくとわかるように、従来型のSEOに頼っていたサイトは、軒並みアクセスが減少しています。

一方で、専門性や信頼性を重視したサイトは、むしろアクセスが増えているんですよね。

なぜ従来のSEOが通用しなくなったのか

多くの中小企業が実践してきた「従来型のSEO」が、なぜ通用しなくなったのでしょうか。

従来型SEOの典型的な手法

2020年頃まで効果があった手法を振り返ってみましょう。

かつて有効だったSEO手法

手法内容現在の状況
キーワード詰め込みタイトルや本文にキーワードを多用ペナルティ対象
被リンク購入リンク販売サイトから被リンクを購入ペナルティ対象
薄いコンテンツ量産500文字程度の記事を大量に作成評価されない
コピーコンテンツ他サイトをリライトして投稿ペナルティ対象
過度な内部リンク不自然に多くの内部リンクを設置評価されない

これらの手法は、今やほとんど効果がないどころか、逆効果になる可能性すらあります。

Googleが重視するようになったこと

では、Googleは今、何を重視しているのでしょうか。

それが「E-E-A-T」です。

E-E-A-Tとは

要素英語日本語意味
EExperience経験実際に経験した内容か
EExpertise専門性その分野の専門知識があるか
AAuthoritativeness権威性業界で認められているか
TTrustworthiness信頼性信頼できる情報か

特に2022年に「Experience(経験)」が追加されたことで、実体験に基づいた情報が重視されるようになりました。

つまり、単にネットで調べた情報をまとめただけの記事は、評価されなくなったということです。

AIに対抗できるコンテンツとは

AIが生成する回答は、確かに便利です。

でも、AIには決定的な弱点があります。

それは、「最新情報」「実体験」「独自の視点」が欠けているということです。

AIの得意・不得意

項目AIの得意AIの不得意
一般的な情報◎ 瞬時に要約できる-
最新情報△ 学習データに依存× 2024年以降の情報が不足
実体験× 体験できない× 実際に使った感想が書けない
独自の視点× 既存情報の組み合わせ× オリジナルの考察が難しい
地域情報△ 一般的な情報のみ× ローカルな詳細情報は弱い

つまり、中小企業が勝負すべきは、AIが苦手とする領域なんです。

AI時代に中小企業が取るべきSEO戦略

では、具体的にどんな戦略を取ればいいのでしょうか。

戦略1:「経験・体験」を全面に出す

最も重要なのは、あなたの会社ならではの「経験」や「体験」を発信することです。

効果的な経験コンテンツの例

業種コンテンツ例効果
製造業「〇〇の製造工程で失敗した3つのこと」実体験は検索で上位に
飲食店「地元農家から直接仕入れる理由と苦労」独自性が高く評価される
士業「実際に相談を受けた事例(匿名化)」専門性と信頼性を示せる
小売店「20年販売して分かった〇〇の選び方」長年の経験が権威性に
サービス業「お客様から学んだ〇〇のコツ」現場の声が信頼を生む

これらは、AIには絶対に書けないコンテンツです。

戦略2:ローカルSEOに全力投球

中小企業の多くは、特定の地域でビジネスをしています。

だからこそ、ローカルSEOに注力すべきです。

ローカルSEOの具体的施策

施策内容難易度効果
Googleビジネスプロフィール最適化情報を充実させ、定期的に更新
地域名を含めたコンテンツ作成「福岡 税理士」など地域キーワード
ローカルな口コミ獲得お客様に口コミ投稿を依頼非常に高
地域イベントへの参加ローカルメディアに取り上げられる
地域サイトからの被リンク商工会議所、地域ポータルサイト

特に、Googleビジネスプロフィールの最適化は、すぐに効果が出やすいのでおすすめです。

Googleビジネスプロフィール最適化のチェックリスト

項目チェック
営業時間が正確に記載されているか
電話番号、住所が正しいか
カテゴリが適切に設定されているか
写真を10枚以上掲載しているか
投稿を週1回以上しているか
口コミに返信しているか
サービスや商品が登録されているか

これらをすべて満たすだけで、地域検索での表示順位が大きく変わります。

戦略3:専門性を徹底的に深掘りする

「広く浅く」ではなく、「狭く深く」を意識しましょう。

専門性の深掘り戦略

アプローチ悪い例良い例
テーマ設定「ビジネス全般」「飲食店の資金繰り」
コンテンツ「経営のコツ10選」「飲食店が3ヶ月で資金繰りを改善した5ステップ」
対象読者「経営者全般」「開業3年目の飲食店オーナー」
情報の深さ一般論を浅く実体験を深く

ニッチに見えても、その分野で1番になれば、検索で勝てます。

戦略4:「検索意図」を徹底的に満たす

ユーザーが検索する背景には、必ず「意図」があります。

その意図を満たすコンテンツを作ることが重要です。

検索意図の4タイプ

タイプ意図求める情報
Knowクエリ知りたい「SEO とは」わかりやすい説明
Doクエリやりたい「SEO 対策 やり方」具体的な手順
Goクエリ行きたい「グーグル ログイン」目的のページ
Buyクエリ買いたい「SEO ツール おすすめ」比較情報、レビュー

自社のターゲットキーワードが、どのタイプなのかを見極めて、それに合ったコンテンツを作りましょう。

実際の成功事例:中小企業のSEO対策

理論だけでなく、実際の事例を見ていきましょう。

事例1:地方の工務店A社

背景

  • 従業員8名の小さな工務店
  • 以前はポータルサイトに広告費を払っていた
  • 月30万円の広告費が負担に

実施した施策

  1. Googleビジネスプロフィールを徹底的に最適化
  2. 施工事例を写真付きで50件掲載
  3. お客様の声を動画で撮影してYouTubeに投稿
  4. ブログで地域の住宅事情について発信(月2本)

6ヶ月後の成果

指標施策前施策後変化
月間問い合わせ数8件23件+188%
広告費月30万円月0円-100%
検索順位(地域名+工務店)圏外3位大幅改善
Googleマップからの流入月5件月18件+260%

広告費ゼロで、問い合わせが3倍近くに増えました。

事例2:都市部の税理士B事務所

背景

  • 開業3年目の若手税理士
  • 競合が多く、差別化に苦戦
  • ホームページからの問い合わせがほぼゼロ

実施した施策

  1. 「飲食店専門」にターゲットを絞る
  2. 飲食店の経理・税務に特化した記事を40本作成
  3. 実際の相談事例(匿名化)をケーススタディとして掲載
  4. 飲食店経営者向けのウェビナーを開催し、その内容を記事化

1年後の成果

指標施策前施策後変化
月間問い合わせ数1件12件+1,100%
検索流入月50PV月1,800PV+3,500%
主要キーワード順位圏外1位(複数)大幅改善
成約率20%58%+38pt

ニッチに絞ったことで、その分野では圧倒的な存在になりました。

事例3:EC販売の雑貨店C社

背景

  • 従業員3名のネットショップ
  • 大手ECモールでの販売が中心
  • 自社サイトへの流入が少ない

実施した施策

  1. 商品の「使い方」「活用例」を動画で作成(YouTube)
  2. ブログで商品開発の裏話、製造現場の様子を発信
  3. お客様の使用レビューを写真付きで掲載
  4. 「〇〇の選び方」ガイドを10記事作成

8ヶ月後の成果

指標施策前施策後変化
自社サイト売上月18万円月95万円+428%
オーガニック流入月120セッション月2,400セッション+1,900%
YouTube登録者0人1,200人-
リピート率12%34%+22pt

動画とブログの組み合わせで、ファンを獲得することに成功しました。

AI時代のSEO、よくある質問

最後に、よく聞かれる質問に答えていきます。

Q1:AIに記事を書かせてもいい?

答えは、「補助的に使うのはOK、全面的に頼るのはNG」です。

AIライティングの使い分け

用途AI活用人間が書くべき理由
アイデア出し-効率的
構成案作成たたき台として有効
一般的な説明基本情報は任せてもOK
実体験・事例×AIには書けない
独自の考察×オリジナリティが重要
最終チェック×人間の目で確認必須

AIが書いた文章は、Googleが検出できると言われています。

全面的に頼ると、評価が下がる可能性があります。

Q2:被リンクはもう意味ない?

いいえ、被リンクは依然として重要です。

ただし、「質」が重視されるようになりました。

被リンクの質の違い

タイプ効果リスク推奨度
自然発生の被リンク非常に高いなし
業界メディアからの被リンク高いなし
関連サイトからの被リンク中〜高なし
リンク購入低いペナルティ×
相互リンク低いなし

無理にリンクを増やすより、良いコンテンツを作って自然にリンクが集まることを目指しましょう。

Q3:更新頻度は重要?

更新頻度よりも、「質」が重要です。

更新戦略の比較

戦略更新頻度SEO効果
A毎日低い(500文字)低い
B週1回中程度(2,000文字)中程度
C月2回高い(5,000文字、実体験)高い

毎日更新しても、薄いコンテンツなら意味がありません。

月2回でも、価値の高い記事を出す方が、はるかに効果的です。

今日から始める3つのアクション

最後に、今日からすぐに実践できることを3つお伝えします。

アクション1:Googleビジネスプロフィールを見直す

まず、Googleビジネスプロフィールを確認してください。

チェック項目確認
情報が最新か
写真が10枚以上あるか
口コミに返信しているか
投稿を定期的にしているか

これだけで、地域検索での順位が変わります。

アクション2:自社の「経験」を1つ記事にする

次に、あなたの会社ならではの経験を、1つ記事にしてみてください。

記事のネタ例

  • 失敗から学んだこと
  • お客様から言われて嬉しかった言葉
  • 商品・サービス開発の裏話
  • 同業者には言えない苦労話
  • 業界の常識を疑った話

これらは、AIには絶対に書けません。

アクション3:ターゲットを絞る

最後に、あなたの会社のターゲットを、もっと絞り込んでみてください。

ターゲットの絞り込み例

BeforeAfter
中小企業製造業(従業員10〜50名)
個人のお客様30〜40代の子育て世代
地域の飲食店開業3年以内のカフェオーナー

ターゲットが明確になれば、刺さるコンテンツが作れます。

まとめ:AI時代こそ、人間らしさが武器になる

ここまで、AI時代のSEOについてお話ししてきました。

重要ポイントのまとめ

ポイント内容
1AIが苦手な「経験・体験」を全面に出す
2ローカルSEOに注力する
3専門性を狭く深く掘り下げる
4検索意図を満たすコンテンツを作る

AI時代だからこそ、人間にしか書けないコンテンツが価値を持ちます。

あなたの会社の経験、お客様との物語、現場で感じたこと。

それらは、どんなAIにも真似できない、あなただけの資産です。

SEOは終わっていません。

むしろ、小さな会社にとって、大きなチャンスなんです。

大企業が作る当たり障りのないコンテンツより、 あなたの会社の生の声の方が、 これからの時代、はるかに価値があります。

今日から、あなたの会社ならではのコンテンツを発信してみませんか?

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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