社員がすぐ辞める会社・辞めない会社の決定的な違い

「せっかく採用した社員がすぐ辞めてしまう…」「うちの会社は何が悪いんだろう?」

こんな悩みを抱える経営者や人事担当者は多いのではないでしょうか。

日本の平均離職率は約15%。つまり、100人の会社なら毎年15人が辞めていく計算です。しかし、離職率5%以下の会社もあれば、30%を超える会社も存在します。

この差は一体どこから生まれるのでしょうか?

本記事では、「社員がすぐ辞める会社」と「社員が辞めない会社」の決定的な違いを、データと実例をもとに徹底解説します。


目次

  1. 数字で見る「辞める会社」の現実
  2. 社員の本音──退職理由ランキング
  3. 「辞める会社」7つの特徴
  4. 「辞めない会社」7つの特徴
  5. 辞める会社と辞めない会社の比較表
  6. 定着率を上げた企業の成功事例
  7. 今日からできる改善アクション
  8. まとめ

数字で見る「辞める会社」の現実

まずは、離職に関するデータを確認しましょう。

業種別・離職率ランキング

順位業種離職率
1位宿泊業・飲食サービス業26.6%
2位生活関連サービス業・娯楽業28.1%
3位サービス業(その他)23.1%
4位教育・学習支援業14.8%
5位医療・福祉14.6%
6位卸売業・小売業14.1%
7位不動産業・物品賃貸業16.3%
8位運輸業・郵便業12.3%
9位情報通信業11.9%
10位製造業10.2%
11位金融業・保険業10.5%
12位電気・ガス・水道業10.7%

業種によって離職率に大きな差があることがわかります。しかし、同じ業種内でも離職率が高い会社と低い会社が存在するのが重要なポイントです。

新卒3年以内の離職率

学歴3年以内離職率定着率
中卒50.5%49.5%
高卒38.4%61.6%
短大卒44.6%55.4%
大卒34.9%65.1%

新卒社員の約3人に1人が3年以内に辞めている現実。これは「採用のミスマッチ」だけでなく、入社後の職場環境にも大きな原因があります。

企業規模別・3年以内離職率

企業規模高卒の離職率大卒の離職率
5人未満60.7%54.1%
5〜29人51.3%49.6%
30〜99人43.6%40.6%
100〜499人36.7%32.9%
500〜999人31.8%30.7%
1,000人以上26.6%26.1%

企業規模が小さいほど離職率が高い傾向にあります。しかし、これは「中小企業だから仕方ない」ではなく、改善の余地が大きいということでもあります。


社員の本音──退職理由ランキング

退職時に会社に伝える理由と、本当の理由は異なることが多いです。

本音の退職理由ランキング

順位本音の退職理由割合
1位人間関係が悪かった25%
2位給与が低かった18%
3位肉体的・精神的に健康を損ねた17%
4位残業・休日出勤が多かった16%
5位仕事内容が合わなかった14%
6位評価・人事制度に不満があった13%
7位成長の実感がなかった13%
8位社風が合わなかった11%
9位上司の仕事のやり方が合わなかった10%
10位キャリアアップしたかった8%

建前の退職理由ランキング

順位建前の退職理由割合
1位キャリアアップ・自己成長のため24%
2位別の職種にチャレンジしたい22%
3位家庭の事情21%
4位体調不良18%
5位仕事内容が合わなかった14%

注目すべきは、本音と建前のギャップです。

本音の1位「人間関係」は、建前ではほとんど語られません。また、「キャリアアップ」は建前では1位ですが、本音では8位にとどまります。

「退職面談で『キャリアアップのため』と言われましたが、実際は上司との関係が原因だったと後で知りました。もっと早く気づいていれば…」(製造業・人事担当談)

つまり、退職理由を額面通りに受け取っていては、本当の問題は解決しないのです。


「辞める会社」7つの特徴

社員がすぐ辞める会社には、共通する特徴があります。

特徴①:人間関係が悪い

人間関係の問題具体例
上司との関係高圧的、相談できない、フィードバックがない
同僚との関係協力し合わない、足の引っ張り合い、派閥がある
部署間の関係縦割り意識が強い、情報共有がない
ハラスメントパワハラ、セクハラ、マタハラが放置されている

「上司に相談しても『そんなの自分で考えろ』と言われるだけ。誰も助けてくれない環境で、精神的に限界でした」(IT企業・元社員の声)

特徴②:給与・評価への不満

問題点具体的な状況
給与水準が低い業界平均を大きく下回る、昇給がほとんどない
評価基準が曖昧何を頑張れば評価されるかわからない
成果が反映されない頑張っても頑張らなくても給与が同じ
不公平感がある同じ仕事でも人によって評価が違う

特徴③:長時間労働・休みが取れない

労働環境の問題離職への影響度
慢性的な残業★★★★★
休日出勤が多い★★★★☆
有給が取りにくい★★★★☆
突発的な呼び出し★★★☆☆
持ち帰り仕事がある★★★☆☆

「月80時間の残業が当たり前。『若いうちは頑張れ』と言われ続け、体を壊しました」(広告代理店・元社員の声)

特徴④:成長機会がない

成長を阻む要因社員の不満
教育制度がない何も教えてもらえず、ずっと同じ作業の繰り返し
研修がないスキルアップの機会がない
挑戦できない新しいことをやらせてもらえない
キャリアパスが見えない5年後、10年後の自分が想像できない

特徴⑤:コミュニケーション不足

コミュニケーションの問題起こりやすいこと
1on1面談がない悩みが蓄積して突然の退職
経営方針が伝わらない会社への帰属意識が低下
部署間の壁が厚い孤立感、疎外感
雑談がない人間関係が希薄

特徴⑥:入社前と入社後のギャップ

ギャップの内容離職リスク
仕事内容が違う「聞いていた話と違う」→即離職
残業時間が違う「ほとんどないと聞いていたのに…」
配属先が違う希望と全く異なる部署に配属
社風が違う「風通しが良い」はずが…実態は真逆

「面接では『残業はほとんどない』と言われましたが、初日から22時まで。3ヶ月で辞めました」(メーカー・元社員の声)

特徴⑦:経営・将来への不安

不安要素社員の心理
業績が悪化している「この会社、大丈夫?」
ビジョンがない「どこに向かっているのかわからない」
経営者の言動が不安定「ついていけない」
人員削減の噂「次は自分かも…」

「辞めない会社」7つの特徴

一方、社員が定着する会社にも共通点があります。

特徴①:心理的安全性が高い

心理的安全性の要素具体的な行動
失敗を責めない失敗を学びに変える文化
意見を言いやすい誰でも自由に発言できる
相談しやすい上司や先輩に気軽に相談できる
助け合いがある困っている人をサポートする風土

「失敗しても『次どうする?』と前向きに話し合える。だから挑戦できるし、成長も感じられます」(IT企業・社員の声)

特徴②:公正な評価制度

評価制度のポイント効果
評価基準が明確何を頑張れば良いかわかる
定期的なフィードバック改善点がわかり成長できる
成果が報酬に反映モチベーションが維持できる
複数の目で評価不公平感が減る

特徴③:ワークライフバランスが取れる

制度・取り組み定着率への効果
残業削減の取り組み★★★★★
有給取得の推奨★★★★★
フレックスタイム制★★★★☆
リモートワーク★★★★☆
時短勤務制度★★★★☆
副業OK★★★☆☆

特徴④:成長を支援する仕組み

成長支援の取り組み具体例
OJT制度先輩社員による丁寧な指導
研修プログラム階層別・スキル別の研修
資格取得支援受験料補助、合格報奨金
外部セミナー参加費用負担、業務時間内での参加OK
社内公募制度挑戦したい部署への異動機会
メンター制度キャリア相談ができる

特徴⑤:経営理念の浸透

理念浸透のレベル社員の状態
理念を知っている「会社の理念は〇〇です」と言える
理念を理解しているなぜその理念なのか説明できる
理念に共感している自分の価値観と合っていると感じる
理念を体現している日々の行動に理念が反映されている

「会社のビジョンに共感できるから、多少大変でも『この会社で頑張ろう』と思えます」(ベンチャー企業・社員の声)

特徴⑥:コミュニケーションが活発

コミュニケーション施策効果
定期的な1on1面談悩みの早期発見、関係性構築
全社ミーティング経営状況の共有、一体感醸成
部署横断プロジェクト視野の拡大、人脈形成
社内イベント親睦、チームビルディング
サンクスカード感謝の見える化、モチベーション向上

特徴⑦:福利厚生が充実

福利厚生の種類定着効果
住宅手当・家賃補助★★★★★
健康診断・人間ドック★★★★☆
育児・介護支援★★★★★
社員食堂・食事補助★★★☆☆
社内部活動★★★☆☆
誕生日休暇★★☆☆☆

辞める会社と辞めない会社の比較表

両者の違いを一覧で比較してみましょう。

組織文化の違い

項目辞める会社辞めない会社
雰囲気ピリピリ、緊張感和やか、活気がある
失敗への対応犯人探し、叱責原因分析、改善
意見の扱い無視、否定傾聴、検討
情報共有閉鎖的オープン
変化への対応「前からこうだから」「やってみよう」

マネジメントの違い

項目辞める会社辞めない会社
上司の姿勢管理・監視支援・伴走
指示の仕方一方的対話的
フィードバックなし or 批判のみ定期的、建設的
部下の育成放置 or 過干渉適切な関与
責任の取り方部下に押し付け上司が引き受ける

人事制度の違い

項目辞める会社辞めない会社
評価基準曖昧、属人的明確、公正
昇給・昇格年功序列 or 不透明成果・能力連動
異動・配置会社都合のみ本人希望も考慮
教育投資ほぼなし積極的に投資
キャリアパス見えない複数の選択肢

働き方の違い

項目辞める会社辞めない会社
労働時間長時間が常態化適正な範囲
有給取得取りにくい雰囲気取得を推奨
柔軟性画一的個人に合わせた選択肢
休日対応当たり前緊急時のみ
仕事の進め方非効率でも変えない常に改善

定着率を上げた企業の成功事例

実際に離職率を大幅に改善した企業の事例を紹介します。

事例A:離職率28%→3%に改善(IT企業・従業員約300名)

課題

  • 離職率28%で人が定着しない
  • 長時間労働が常態化
  • 社員間のコミュニケーション不足

取り組み

施策内容
選択型人事制度働き方を社員自身が選択できる仕組み
育児・介護休暇の充実独自の休暇制度を整備
部活動制度部署を超えた交流の場を創出
情報の徹底公開経営情報をオープンに共有

結果

指標BeforeAfter
離職率28%3%
残業時間月40時間超月20時間以下
従業員満足度52%89%

「社員が『この会社で働き続けたい』と思える環境を作ることに徹底的にこだわりました」(経営者談)


事例B:新入社員定着率100%達成(飲食業・従業員約150名)

課題

  • 新入社員が1年以内に半数以上離職
  • 教育体制が整っていない
  • 現場任せで放置されがち

取り組み

施策内容
個別面談の徹底入社後3ヶ月間は週1回の面談
メンター制度年齢の近い先輩をメンターに
段階的な業務習得スキルマップで成長を可視化
相談窓口の設置人事への直接相談ルートを確保

結果

指標BeforeAfter
1年以内離職率55%0%
新入社員満足度48%92%
研修コスト年間500万円年間200万円(定着により減少)

「最初の3ヶ月が勝負。手厚くフォローすることで、その後の定着率が劇的に変わりました」(人事責任者談)


事例C:若手離職率を半減(製造業・従業員約80名)

課題

  • 20代の離職率が40%超
  • 「成長できない」という不満が多い
  • ベテランと若手の間に壁がある

取り組み

施策内容
キャリア面談の実施年2回、将来のキャリアを一緒に考える
資格取得支援費用全額補助、合格報奨金10万円
若手プロジェクト若手主導の改善プロジェクトを実施
表彰制度月間MVP、改善提案賞など

結果

指標BeforeAfter
20代離職率42%18%
資格取得者数年間3名年間15名
改善提案件数年間12件年間78件

「若手が『この会社で成長できる』と実感できるようになったことが、一番の変化でした」(工場長談)


今日からできる改善アクション

離職率改善は、大きな制度変更だけでなく、小さな取り組みの積み重ねでも効果があります。

すぐにできること(コストゼロ)

アクション期待効果
朝の挨拶を徹底する職場の雰囲気改善
「ありがとう」を口にする承認欲求の充足
5分でも1on1を実施する悩みの早期発見
社員の話を最後まで聞く信頼関係の構築
良い仕事を具体的に褒めるモチベーション向上

1ヶ月以内に取り組むこと

アクション準備すること
退職者の本音調査匿名アンケートの設計
現社員の満足度調査ES調査の実施
1on1面談の制度化面談シートの作成
評価基準の明文化評価項目の洗い出し

3ヶ月以内に取り組むこと

アクションポイント
教育制度の整備段階的なスキルアップの道筋を作る
労働時間の見直し業務の棚卸し、効率化
コミュニケーション施策定期ミーティング、イベントの企画
福利厚生の見直し社員のニーズ調査から始める

改善の優先度マトリクス

効果:大効果:中
コスト:低★最優先★<br>1on1面談、挨拶文化、感謝の言語化○優先○<br>情報共有の改善、会議の効率化
コスト:高◎計画的に◎<br>給与改定、研修制度、福利厚生△検討△<br>オフィス環境改善、イベント

自社診断チェックリスト

自社が「辞める会社」と「辞めない会社」のどちらに近いか、チェックしてみましょう。

組織文化チェック

チェック項目Yes/No
□ 社員が自由に意見を言える雰囲気がある
□ 失敗を責めるのではなく、学びに変える文化がある
□ 部署間の壁が低く、協力し合える
□ ハラスメントへの対応が明確である
□ 経営陣と現場の距離が近い

マネジメントチェック

チェック項目Yes/No
□ 上司と部下の定期的な面談がある
□ 評価基準が明確で、社員に共有されている
□ フィードバックが定期的に行われている
□ 部下の成長を支援する仕組みがある
□ 上司が部下の話を傾聴している

働き方チェック

チェック項目Yes/No
□ 残業時間が適正な範囲に収まっている
□ 有給休暇が取得しやすい雰囲気がある
□ 柔軟な働き方の選択肢がある
□ 業務量が特定の人に偏っていない
□ 効率化・改善の取り組みがある

成長機会チェック

チェック項目Yes/No
□ 新入社員への教育制度がある
□ スキルアップの機会が提供されている
□ キャリアパスが見える化されている
□ 挑戦を奨励する風土がある
□ 成果や貢献が正当に評価されている

診断結果

Yesの数診断結果
16〜20個優良!定着率が高い可能性大。維持・向上を継続
11〜15個良好。改善ポイントを特定し、対策を
6〜10個要注意。早急な改善が必要
0〜5個危険水域。抜本的な見直しを

まとめ:辞める会社と辞めない会社の「決定的な違い」

本記事で見てきたように、社員がすぐ辞める会社と辞めない会社の違いは、**「社員を大切にしているかどうか」**に集約されます。

辞める会社の共通点

  • 人間関係が悪い
  • 評価・給与への不満がある
  • 長時間労働が常態化
  • 成長機会がない
  • コミュニケーション不足
  • 入社前後のギャップが大きい
  • 将来への不安がある

辞めない会社の共通点

  • 心理的安全性が高い
  • 公正な評価制度がある
  • ワークライフバランスが取れる
  • 成長を支援する仕組みがある
  • 経営理念が浸透している
  • コミュニケーションが活発
  • 福利厚生が充実している

最も重要なこと

離職率の改善に「魔法の杖」はありません。

しかし、社員の声に耳を傾け、一つひとつ改善していく姿勢があれば、必ず定着率は上がります。

まずは今日から、できることから始めてみませんか?

「社員が辞めない会社」への第一歩は、**「社員の話を聞くこと」**から始まります。

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