
こんにちは、BizVoiceライターの田中です。
「もっと頑張らないと」 「もっとやらないと」 「他社に負けないように、あれもこれも…」
経営者なら、こんな焦りを感じたことがあるのではないでしょうか。
でも、僕がこれまで取材してきた「安定して成長している会社」には、ある共通点がありました。それは、「やっていないこと」が明確だということ。
驚くかもしれませんが、安定している会社ほど、「やらない」と決めていることが多いんです。
今回は、経営が安定している会社が「あえてやっていないこと」を7つ紹介します。常識だと思っていたことが、実は会社を不安定にしている原因かもしれません。ぜひ最後までお読みください。
「やらない」と「できない」は違う
最初に、大切なことをお伝えします。
「やらない」と「できない」は、まったく違います。
| 区分 | 意味 | 経営への影響 |
|---|---|---|
| やらない | 戦略的に選択しない | コントロールできている |
| できない | リソース不足で対応できない | 振り回されている |
安定している会社は「やらない」を選んでいます。不安定な会社は「できない」に追われています。
この違いは、経営の質に大きく影響します。
「やらない」を決めることの効果
| 効果 | 詳細 |
|---|---|
| 集中力が高まる | 本当に大事なことにリソースを集中できる |
| 判断が早くなる | 基準が明確なので、迷わない |
| 社員が動きやすくなる | 何をしなくていいかが明確 |
| ブランドが立つ | 「何をしない会社か」が差別化になる |
| 利益率が上がる | 効率の悪いことをやめられる |
安定企業がやっていない7つのこと
では、具体的に安定企業が「やっていないこと」を見ていきましょう。
やっていないこと①:すべての顧客に対応する
安定企業は、顧客を選んでいます。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| 来た仕事は全部受ける | 条件に合わない仕事は断る |
| どんな顧客にも対応 | 理想の顧客像が明確 |
| クレーマーにも全力対応 | 相性の悪い顧客とは距離を置く |
| 「お客様は神様」 | 「相互に敬意を持てる関係」を重視 |
顧客を選ぶことの効果
| 指標 | すべて対応 | 顧客を選ぶ |
|---|---|---|
| 顧客満足度 | 3.2点 | 4.5点 |
| クレーム発生率 | 15% | 3% |
| リピート率 | 45% | 78% |
| 紹介率 | 8% | 32% |
| 社員のストレス | 高 | 低 |
| 利益率 | 8% | 18% |
「すべての人に選ばれようとする会社は、誰からも選ばれない」
これは、安定企業の経営者がよく口にする言葉です。
やっていないこと②:価格競争に参加する
安定企業は、価格では勝負していません。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| 競合より安くする | 価格以外の価値で勝負 |
| 値引き要請に応じる | 価格は変えず、価値を説明 |
| 安さをアピール | 品質・サービスをアピール |
| 薄利多売 | 適正利益を確保 |
価格戦略の違いによる経営指標
| 指標 | 価格競争型 | 価値提供型 |
|---|---|---|
| 粗利率 | 25% | 45% |
| 顧客単価 | 低い | 高い |
| 顧客の質 | バラバラ | 良質 |
| 価格交渉の頻度 | 毎回 | ほぼなし |
| リピート率 | 35% | 72% |
| 経営の安定度 | 低い | 高い |
価格で勝負すると、常に「もっと安く」のプレッシャーにさらされます。一方、価値で勝負する会社は、価格ではなく「あなたにお願いしたい」で選ばれます。
やっていないこと③:流行りに飛びつく
安定企業は、トレンドに振り回されていません。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| 新しいSNSはすぐ始める | 自社に合うか見極めてから |
| 流行りのツールを次々導入 | 必要なものだけ厳選 |
| 他社がやっていると焦る | 自社の軸を守る |
| 最新トレンドを追いかける | 普遍的な価値を追求 |
トレンド対応の違い
| 項目 | 流行追従型 | 軸を守る型 |
|---|---|---|
| SNSアカウント数 | 5つ以上 | 1〜2つ |
| 活用しているツール数 | 10以上 | 3〜5 |
| 方針の変更頻度 | 頻繁 | 年1回程度 |
| 社員の混乱度 | 高 | 低 |
| 施策の成功率 | 20% | 65% |
| 投資対効果 | 低い | 高い |
安定企業の経営者は「流行りを追いかけるより、地味でも確実なことを続ける方が、結局は早い」と言います。
やっていないこと④:すべてを自社でやろうとする
安定企業は、外部の力を上手に使っています。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| なんでも内製化 | コア業務以外は外注 |
| 「自分たちでやった方が安い」 | 「プロに任せた方が質が高い」 |
| 社員に多くの役割を求める | 社員は得意なことに集中 |
| 外注=コスト | 外注=投資 |
外部活用の違い
| 業務 | 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|---|
| 経理・会計 | 社長がやる | 税理士・外注 |
| WEB制作 | 社員が兼務 | 専門業者 |
| SNS運用 | 手が空いた人 | 担当者 or 外注 |
| 採用活動 | 場当たり的 | 人材会社活用 |
| 清掃・雑務 | 社員全員で | 清掃業者 |
「自分たちでやった方が安い」は、多くの場合、錯覚です。見えないコスト(時間、機会損失、品質低下)を計算すると、外注の方が得なことが多いんです。
やっていないこと⑤:社長が現場に出続ける
安定企業の社長は、現場を離れています。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| 社長が一番働く | 社長は経営に専念 |
| 現場を離れられない | 現場は任せている |
| 社長がいないと回らない | 社長がいなくても回る |
| 社長の労働時間=売上 | 仕組みで売上が立つ |
社長の時間配分の違い
| 業務 | 不安定な会社の社長 | 安定している会社の社長 |
|---|---|---|
| 現場作業 | 50% | 5% |
| 顧客対応 | 30% | 20% |
| 経営戦略 | 5% | 35% |
| 人材育成 | 5% | 20% |
| 新規事業検討 | 0% | 15% |
| 休息・学習 | 10% | 5% |
安定企業の社長は言います。「現場を離れるのは怖かった。でも、離れたからこそ会社が成長した」
やっていないこと⑥:無理な成長を追いかける
安定企業は、急成長より持続成長を選んでいます。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| 「売上2倍が目標」 | 「利益率の維持が目標」 |
| 急拡大を目指す | 身の丈に合った成長 |
| 人を急いで増やす | 慎重に採用 |
| 借入を増やしてでも投資 | 手元資金の範囲で投資 |
成長戦略の違いによる結果
| 指標 | 急成長志向 | 持続成長志向 |
|---|---|---|
| 3年後の売上成長率 | +150% | +45% |
| 3年後の利益率 | 3% | 15% |
| 従業員定着率 | 55% | 88% |
| 資金繰りの安定度 | 不安定 | 安定 |
| 5年後の生存率 | 62% | 91% |
急成長した会社の多くは、どこかで息切れします。一方、持続成長の会社は、長く安定して続いています。
やっていないこと⑦:すべての情報を追いかける
安定企業は、情報の取捨選択がうまいです。
| 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|
| SNSを常にチェック | 情報収集の時間を決めている |
| 気になる記事は全部読む | 読む情報源を絞っている |
| セミナーに片っ端から参加 | 目的を持って厳選参加 |
| 情報に振り回される | 情報を活用する |
情報との付き合い方
| 項目 | 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|---|
| 1日の情報収集時間 | 3時間以上 | 30分〜1時間 |
| フォローしているアカウント数 | 500以上 | 50以下 |
| 参加するセミナー | 月5回以上 | 月1〜2回 |
| 情報→行動の変換率 | 5% | 40% |
| 情報疲れの度合い | 高い | 低い |
「情報をたくさん持っている人より、少ない情報で動ける人の方が成果を出す」
これも、安定企業の経営者がよく言う言葉です。
安定企業と不安定企業の決定的な違い
ここで、安定企業と不安定企業の違いを総合的に比較してみましょう。
経営スタンスの違い
| 項目 | 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|---|
| 基本姿勢 | 足し算(もっとやる) | 引き算(絞り込む) |
| 判断基準 | 「できるか」で決める | 「やるべきか」で決める |
| 時間の使い方 | 緊急なことに追われる | 重要なことに集中 |
| 人との関係 | 広く浅く | 深く狭く |
| 成長の定義 | 売上拡大 | 利益と質の向上 |
経営数値の違い
| 指標 | 不安定な会社の平均 | 安定している会社の平均 |
|---|---|---|
| 営業利益率 | 5% | 15% |
| 自己資本比率 | 20% | 45% |
| 従業員定着率 | 65% | 90% |
| 顧客リピート率 | 40% | 75% |
| 経営者の労働時間 | 70時間/週 | 50時間/週 |
| 経営者の満足度 | 3.2点 | 4.3点 |
意思決定の違い
| 場面 | 不安定な会社 | 安定している会社 |
|---|---|---|
| 新規案件の依頼 | とりあえず受ける | 基準に合うか確認 |
| 値引き要請 | 応じることが多い | 基本的に応じない |
| 新サービス検討 | 「儲かりそう」で始める | 「強みを活かせるか」で判断 |
| 採用 | 「とにかく人手が欲しい」 | 「カルチャーに合うか」重視 |
| 設備投資 | 「あると便利」で導入 | 「必須か」で判断 |
業種別「やらないこと」の実例
業種ごとに、安定企業が実践している「やらないこと」の実例を紹介します。
飲食店の「やらないこと」
| やらないこと | 理由 | 代わりにやること |
|---|---|---|
| メニューを増やしすぎない | ロス増、品質低下 | 看板メニューを磨く |
| ランチ営業をしない | 利益率が低い | ディナーに集中 |
| 全席対応しない | オペレーション負荷 | 適正席数で回転率UP |
| 出前アプリに頼らない | 手数料で利益圧迫 | 自社デリバリー or 店内集中 |
| 深夜営業しない | 人件費、疲弊 | 営業時間を絞る |
製造業の「やらないこと」
| やらないこと | 理由 | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 小ロット受注しない | 効率が悪い | 最低ロット設定 |
| 特急対応を常態化しない | 現場が疲弊 | 特急料金を設定 |
| 安値競争に参加しない | 利益が出ない | 技術力で差別化 |
| 遠方の顧客を追わない | 移動コスト | エリアを絞る |
| すべての加工に対応しない | 設備投資が分散 | 得意分野に特化 |
士業・コンサルの「やらないこと」
| やらないこと | 理由 | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 無料相談しない | 本気でない人が来る | 有料相談で質を担保 |
| 全業種に対応しない | 専門性が薄まる | 業種特化 |
| 24時間対応しない | 疲弊する | 対応時間を明確化 |
| 単発案件を受けない | 効率が悪い | 顧問契約を推奨 |
| 価格表を出さない | 「安ければいい」客が来る | 適正価格を堂々と提示 |
小売・ECの「やらないこと」
| やらないこと | 理由 | 代わりにやること |
|---|---|---|
| 品揃えを増やしすぎない | 在庫リスク | 売れ筋に集中 |
| 最安値を目指さない | 利益が出ない | 価値訴求 |
| 全モールに出店しない | リソース分散 | 強いチャネルに集中 |
| セール依存しない | 定価で売れなくなる | 価値を伝える |
| 即日発送を標準にしない | オペレーション負荷 | 適正な配送日数 |
「やらない」を決めた経営者たちの声
実際に「やらない」を決めて経営が安定した経営者の声を紹介します。
建設業・経営者Aさん(従業員20名)の声
「昔は来た仕事を全部受けていました。『断ったら仕事がなくなる』と怖かったんです。でも、思い切って『車で30分以内』『500万円以上』という基準を設けたら、驚くことに売上は下がらず、利益だけが1.8倍になりました。移動時間が減って、1日に回れる現場が増えたんです。『やらない』を決めたことで、『やる』ことの質が上がりました」
美容室・オーナーBさん(従業員7名)の声
「新規クーポンをやめるのは本当に怖かったです。でも、やめた途端、来店するお客様の質が変わりました。『安いから』ではなく『あなたの店だから』で来てくれる人が増えた。リピート率は30%から75%に跳ね上がりました。売上を追いかけていた頃より、今の方がずっと安定しています」
Web制作・代表Cさん(従業員5名)の声
「『なんでもできます』と言っていた頃は、毎日が戦争でした。ある日、『コーポレートサイト専門』に絞ったら、問い合わせの質がガラッと変わりました。『何でも屋』から『専門家』になったことで、単価も2倍になりました。やらないことを決めたら、やりたいことができるようになったんです」
税理士・Dさん(従業員4名)の声
「開業当初は、どんな業種でも、どんな価格でも受けていました。でも、『飲食店専門』『月額5万円以上』と決めてから、仕事が楽しくなりました。業界知識が深まるので、提案の質が上がる。顧客も『わかってくれている』と喜んでくれる。断ることは、実は顧客のためにもなるんです」
製造業・経営者Eさん(従業員25名)の声
「特急対応をやめたとき、取引先から文句を言われました。でも、『通常納期でお願いします。特急の場合は1.5倍の料金です』と伝えたら、ほとんどが通常納期を選びました。結局、特急の必要がない案件が多かったんです。現場の残業は激減し、品質も上がりました。『お客様のため』と思って無理していたことが、実は誰のためにもなっていなかった」
御社の「やらないことリスト」を作る
最後に、御社の「やらないことリスト」を作るための手順をお伝えします。
ステップ①:現状を書き出す
| 書き出す項目 | 例 |
|---|---|
| 対応している顧客の種類 | 個人、法人、大企業、中小企業… |
| 提供しているサービス | メイン商品、サブ商品、特別対応… |
| 対応しているエリア | 全国、関東、都内、特定地域… |
| 対応している時間帯 | 営業時間、時間外対応… |
| 参加している活動 | 会合、セミナー、交流会… |
ステップ②:各項目を評価する
| 評価軸 | 質問 |
|---|---|
| 利益貢献度 | これは利益を生んでいるか? |
| 強みとの関連 | これは自社の強みを活かせるか? |
| 顧客満足度 | これは顧客に喜ばれているか? |
| 社員の負担 | これは社員を疲弊させていないか? |
| 将来性 | これは5年後も続けるべきか? |
ステップ③:「やめる」「続ける」「迷う」に分類
| 分類 | 基準 | 対応 |
|---|---|---|
| やめる | 評価が低い、負担が大きい | 即座に終了 |
| 続ける | 評価が高い、強みを活かせる | 強化 |
| 迷う | 判断がつかない | 期限を決めて検証 |
ステップ④:「やらないことリスト」を明文化
| カテゴリ | やらないこと | 理由 |
|---|---|---|
| 顧客 | 〇〇な顧客は対応しない | 利益が出ない |
| 価格 | 〇〇円以下の案件は受けない | 採算が合わない |
| 時間 | 〇〇時以降は対応しない | 疲弊を防ぐ |
| エリア | 〇〇以外は対応しない | 効率が悪い |
| 業務 | 〇〇は自社でやらない | 外注の方が質が高い |
ステップ⑤:周知して実行する
| 周知先 | 伝え方 |
|---|---|
| 社員 | 朝礼、ミーティングで共有 |
| 顧客 | ホームページ、契約書に明記 |
| 取引先 | 直接伝える、メールで通知 |
| 自分自身 | 見える場所に掲示 |
まとめ
長い記事になりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。
今回お伝えしたかったことは、**「やらないことを決めることが、経営を安定させる」**ということ。
安定企業がやっていない7つのこと(おさらい)
| No. | やっていないこと | 代わりにやっていること |
|---|---|---|
| 1 | すべての顧客に対応 | 顧客を選ぶ |
| 2 | 価格競争に参加 | 価値で勝負 |
| 3 | 流行りに飛びつく | 軸を守る |
| 4 | すべてを自社でやる | 外部を活用 |
| 5 | 社長が現場に出続ける | 経営に専念 |
| 6 | 無理な成長を追う | 持続成長を選ぶ |
| 7 | すべての情報を追う | 情報を厳選 |
「やらない」を決めることのメリット
| メリット | 詳細 |
|---|---|
| 集中力が高まる | 本当に大事なことに時間を使える |
| 利益率が上がる | 効率の悪い仕事がなくなる |
| 社員が元気になる | 無理な仕事が減る |
| 顧客満足度が上がる | 得意なことに集中できる |
| 経営者が楽になる | 判断基準が明確になる |
「もっとやらなきゃ」と思っている経営者ほど、「やらないこと」を決めることで、経営が好転することがあります。
足し算の経営から、引き算の経営へ。
御社の「やらないことリスト」を作ることから、始めてみませんか?








