小さな会社が契約率を上げる"3つのトーク術"

「商談はたくさんしているのに、なかなか契約につながらない…」「大手と違って知名度がないから、どうしても価格競争になってしまう…」

小さな会社や個人事業主にとって、契約率(成約率)の向上は売上に直結する最重要課題です。しかし、営業人員も限られ、研修制度も整っていない中小企業では、どのようにして契約率を上げればよいのでしょうか。

本記事では、大企業のような潤沢なリソースがなくても実践できる「3つのトーク術」を中心に、契約率を劇的に向上させる方法を詳しく解説します。明日の商談から使える具体的なフレーズやテクニックも多数紹介していますので、ぜひ最後までお読みください。


目次

  1. 契約率とは?小さな会社が知っておくべき基礎知識
  2. 契約率が上がらない5つの原因
  3. トーク術①:「聴く力」で信頼を勝ち取るヒアリング術
  4. トーク術②:「未来」を見せるプレゼン術
  5. トーク術③:「背中を押す」クロージング術
  6. 実践者の声:トーク術で契約率が変わった体験談
  7. 契約率を継続的に高める仕組みづくり
  8. まとめ

1. 契約率とは?小さな会社が知っておくべき基礎知識

契約率の計算方法

契約率(成約率)とは、商談を行った件数のうち、実際に契約に至った割合を示す指標です。営業活動の「質」を測る重要な数値であり、この数字を改善することで、同じ商談件数でもより多くの売上を獲得できるようになります。

【契約率の計算式】

指標計算式
契約率契約件数 ÷ 商談件数 × 1005件 ÷ 20件 × 100 = 25%

なぜ小さな会社こそ契約率を重視すべきなのか

大企業は多くの営業人員を抱え、数をこなすことで売上を確保できます。しかし小さな会社は、限られたリソースの中で成果を出さなければなりません。だからこそ、「数」ではなく「質」で勝負する必要があるのです。

【商談件数と契約率の関係】

シナリオ月間商談件数契約率契約件数
現状20件20%4件
商談を1.5倍に増やす30件20%6件
契約率を1.5倍に上げる20件30%6件

商談件数を増やすには、広告費や人件費など追加のコストがかかります。一方、契約率を上げるのは、トーク術を磨くことで実現可能です。小さな会社にとって、契約率の向上は最もコストパフォーマンスの高い売上アップ施策といえます。

業界別・契約率の目安

契約率は業界や商材、営業手法によって大きく異なります。一概に「○○%が良い」とは言えませんが、以下を参考に自社の現状を把握してみてください。

【業界別・契約率の目安】

業界・商材タイプ契約率の目安
法人向け高額商材(BtoB)15〜25%
法人向け中〜低額商材25〜40%
個人向けサービス(BtoC)20〜35%
紹介・口コミ経由40〜60%
新規飛び込み営業5〜15%

重要なのは、他社との比較ではなく「自社の過去との比較」です。定期的に契約率を測定し、改善傾向にあるかどうかをチェックしましょう。


2. 契約率が上がらない5つの原因

トーク術を学ぶ前に、まずは契約率が上がらない原因を理解しておきましょう。原因がわかれば、どのトーク術を重点的に磨くべきかが見えてきます。

原因①:顧客のニーズを深く理解できていない

多くの営業担当者が陥りがちなのが、「商品説明」に終始してしまうパターンです。顧客の話を十分に聞かず、表面的な情報だけで提案を進めてしまうと、本当のニーズを見落としてしまいます。

【NG例】

  • 最初から商品パンフレットを広げて説明を始める
  • 顧客の発言に対して「はい」「そうですね」だけで深掘りしない
  • 自社の都合で話を進める

原因②:商品の「機能」だけを説明している

商品やサービスのスペックや機能を一生懸命説明しても、顧客の心には響きません。顧客が知りたいのは「それを使うと自分がどう変わるのか」というベネフィット(利益)です。

【機能とベネフィットの違い】

商材例機能(スペック)ベネフィット
会計ソフトクラウド対応・自動仕訳経理作業が半分に、本業に集中できる
コピー機毎分40枚印刷大量印刷も待ち時間なし、残業が減る
コンサルサービス月2回のミーティング経営の悩みをすぐ相談できる安心感

原因③:話しすぎている

営業に熱心な担当者ほど、「伝えたい」という思いが強く、つい一方的に話し続けてしまいます。しかし、人は一度に多くの情報を処理できません。情報過多になると「なんか面倒くさそう」という印象を与えてしまいます。

原因④:クロージングのタイミングを逃している

顧客の購買意欲が高まっているタイミングを見逃し、ダラダラと商談を続けてしまうケースも少なくありません。逆に、まだ顧客の心の準備ができていない段階でクロージングをかけてしまうと、押し売りの印象を与えてしまいます。

原因⑤:営業プロセスが属人化している

小さな会社では、営業ノウハウが個人の頭の中にあるだけで、組織として共有されていないことがよくあります。これでは、優秀な営業担当者が辞めると、そのノウハウも一緒に失われてしまいます。

【契約率が上がらない原因チェックリスト】

チェック項目該当
商談で話している時間が8割以上を占めている
顧客の「本当の悩み」を3つ以上言えない
商品説明は詳しいが、導入後のイメージを伝えていない
「検討します」と言われたまま放置している案件が多い
成功した商談の勝因を説明できない

3. トーク術①:「聴く力」で信頼を勝ち取るヒアリング術

なぜ「聴く」ことが契約率を上げるのか

営業というと「話す力」が重要と思われがちですが、実は契約率を左右するのは「聴く力」です。顧客は、自分の話を真剣に聴いてくれる人に信頼を寄せます。信頼関係ができていれば、提案も受け入れられやすくなるのです。

【話す・聴くの理想的な比率】

営業タイプ自分が話す顧客が話す契約率への影響
一方的営業80%20%低い
バランス型50%50%普通
聴く営業30%70%高い

トップセールスの多くは「聴く時間」を意識的に増やしています。顧客に7割話してもらうことを目標にしましょう。

顧客の本音を引き出す質問テクニック

ただ黙っていても、顧客は話してくれません。適切な質問を投げかけることで、顧客の本音を引き出す必要があります。

【効果的な質問の種類】

質問タイプ目的具体例
オープンクエスチョン自由に話してもらう「今、どんなことにお困りですか?」
深掘り質問詳細を聞き出す「具体的には、どのような場面で?」
共感質問本音を引き出す「それは大変ですね。他にも困っていることは?」
仮説質問ニーズを確認する「もし〇〇ができたら、いかがですか?」

実践!ヒアリングの流れ

商談の冒頭から商品説明に入るのではなく、以下の流れでヒアリングを進めましょう。

【ヒアリングの5ステップ】

ステップ内容使えるフレーズ
1アイスブレイク「本日はお時間いただきありがとうございます」
2現状の確認「現在、〇〇についてはどのようにされていますか?」
3課題の深掘り「その点で、何かお困りのことはありますか?」
4理想の確認「理想の状態はどのようなものですか?」
5優先順位の確認「その中でも特に重要なのは何ですか?」

「オウム返し」で信頼を築く

顧客の発言を繰り返す「オウム返し」は、シンプルながら効果絶大なテクニックです。

【オウム返しの使い方】


顧客:「最近、経理の担当者が辞めてしまって、請求書の発行が遅れがちなんです」

営業(NG):「そうですか。それでは弊社のシステムがおすすめです」

営業(OK):「経理の担当者さんが辞められて、請求書の発行が遅れがちなんですね。それは大変ですね。具体的にはどれくらい遅れているのですか?」


オウム返しをすることで、「ちゃんと話を聴いている」という姿勢が伝わり、顧客は安心してさらに詳しく話してくれるようになります。


4. トーク術②:「未来」を見せるプレゼン術

スペック説明では心は動かない

ヒアリングで顧客のニーズを把握したら、次はプレゼン(提案)のフェーズです。ここで重要なのは、商品のスペックや機能ではなく、「顧客の未来」を見せることです。

人が購買を決断するのは、「この商品がほしい」からではなく、「この商品を使った自分の姿」に魅力を感じたときです。

「Before → After」で変化を見せる

最も効果的なプレゼン構成は、顧客の「現在(Before)」と「理想の未来(After)」を対比させる方法です。

【Before → After の構成例】

フェーズ内容具体例
Before(現状)顧客が抱える課題「毎月の請求書発行に3日かかっている」
After(理想)導入後の姿「ボタン一つで請求書が自動作成され、1時間で完了」
変化得られるメリット「月に2日分の時間が浮き、本業に集中できる」

数字で具体的にイメージさせる

「便利になります」「効率が上がります」という抽象的な表現では、顧客は具体的にイメージできません。可能な限り数字を使って伝えましょう。

【抽象表現 vs 具体表現】

抽象的な表現具体的な表現
時間が短縮できます作業時間が1日3時間から1時間に短縮できます
コストが下がります年間で約50万円のコスト削減が見込めます
多くの会社で導入されています同業界で120社以上の導入実績があります

事例を活用して「自分ごと」化させる

類似の業種・規模の会社の導入事例を紹介することで、顧客は「自分のこと」としてイメージしやすくなります。

【事例紹介のポイント】

要素伝えるべき内容
類似性「御社と同じ従業員10名ほどの会社さんですが…」
導入前の課題「導入前は毎月残業が30時間発生していたそうです」
導入後の変化「今では残業がほぼゼロになり、社員さんも喜んでいるとのことです」
お客様の声「担当者様からは『もっと早く導入すればよかった』と言われました」

「松竹梅」で選択肢を提示する

プランや商品を1つだけ提示するのではなく、3つの選択肢を用意することで、顧客は「買うか買わないか」ではなく「どれを買うか」という思考になりやすくなります。

【松竹梅の価格設定例】

プラン内容価格狙い
松(プレミアム)全機能+サポート充実月額5万円上限の基準を示す
竹(スタンダード)主要機能+標準サポート月額3万円本命プラン
梅(ライト)基本機能のみ月額1万円ハードルを下げる

心理学的に、人は3つの選択肢があると真ん中を選びやすい傾向があります。最も売りたいプランを真ん中に設定するとよいでしょう。


5. トーク術③:「背中を押す」クロージング術

クロージングが苦手な人の共通点

多くの営業担当者が「クロージングが苦手」と感じています。その理由は、「断られるのが怖い」「押し売りと思われたくない」という心理が働くからです。

しかし、適切なクロージングは「押し売り」ではありません。顧客が迷っているときに、決断の背中を押してあげる行為なのです。

【クロージングに対する意識改革】

NG思考OK思考
契約を迫るのは申し訳ない顧客の課題解決を提案している
断られたらどうしよう決断できるよう手助けしている
もう少し時間をおこう今決めることで顧客にメリットがある

テストクロージングで温度感を確認する

いきなり「契約しますか?」と聞くのではなく、商談の途中で「テストクロージング」を挟むことで、顧客の温度感を確認できます。

【テストクロージングのフレーズ例】

場面フレーズ
説明途中「ここまでの内容で、何かご不明な点はありますか?」
ニーズ確認後「こちらの内容であれば、御社の課題解決になりそうですか?」
価格提示後「予算的には、いかがでしょうか?」
最終確認前「他にご懸念点はありますか?」

「沈黙」を恐れない

クロージングで最も重要なテクニックの一つが「サイレントクロージング」です。契約の意思を確認した後、顧客が黙って考え込んでいる時間を「ゴールデンサイレンス」と呼びます。

【ゴールデンサイレンスの対応】

状況NG対応OK対応
顧客が黙った焦って話し始める静かに待つ
沈黙が続く値引きを提案する「ゆっくりお考えください」と伝える
顧客が悩んでいる追加説明を始める「何かご不安な点がありますか?」と質問

沈黙を邪魔すると、顧客の思考を妨げてしまいます。顧客が真剣に考えている証拠なので、静かに待ちましょう。

断り文句への切り返し方

「検討します」「上に相談します」といった断り文句に対して、適切に切り返すことで、契約率は大きく変わります。

【よくある断り文句と切り返し例】

断り文句切り返しフレーズ
「検討します」「ありがとうございます。ちなみに、ご検討いただく上で特に気になる点はどこですか?」
「価格が高い」「確かに安くはないですね。ちなみに、ご予算としてはどのくらいをお考えでしたか?」
「上司に相談します」「承知しました。上司の方がご判断される際に、特に気にされそうなポイントはありますか?」
「他社と比較したい」「もちろんです。比較される際に、特に重視されるポイントを教えていただけますか?」
「今は忙しい」「お忙しい中ありがとうございます。いつ頃でしたらゆっくりお話しできそうですか?」

ポイントは、断り文句を否定せず、一度受け止めてから質問で深掘りすることです。これが「YES BUT法」の基本です。

期限を設定して決断を促す

優柔不断な顧客に対しては、「デッドラインクロージング」が有効です。期限を設けることで、決断を先延ばしにせず、検討を進めてもらえます。

【デッドラインクロージングの例】


「今月中にご契約いただければ、初期費用を50%オフにさせていただきます。来月以降は通常価格になりますので、ご検討いただければ幸いです」

「システムの導入に2週間ほどかかりますので、来月から使い始めたい場合は、今週中にご判断いただく必要があります」


ただし、根拠のない期限設定は信頼を損ねます。割引キャンペーンや導入スケジュールなど、合理的な理由を添えましょう。


6. 実践者の声:トーク術で契約率が変わった体験談

ケース1:「聴く営業」に変えて契約率が2倍に

【口コミ:リフォーム会社 代表・48歳】

「以前は、お客様のお宅に伺うとすぐにカタログを広げて説明していました。でも、なかなか契約に結びつかなかったんです。コンサルタントに相談したところ、『まず30分は聴くことに徹してください』とアドバイスをもらいました。

最初は不安でしたが、実践してみると驚きました。お客様が『実は…』と本音を話し始めてくれるようになったんです。ある奥様は『夫は乗り気じゃないけど、私はどうしてもキッチンを新しくしたい』と打ち明けてくださいました。

そのニーズがわかったので、旦那様にもメリットがある提案をしたところ、ご夫婦揃って納得していただけました。今では契約率が以前の約2倍になり、紹介も増えています」

ケース2:「未来を見せる」プレゼンで高額商品が売れるように

【口コミ:IT機器販売会社 営業部長・42歳】

「うちの営業は技術に詳しいので、どうしてもスペック説明に偏りがちでした。『このサーバーはCPUが○○で、メモリが○○GBで…』という感じです。でも、お客様の反応はイマイチでした。

そこで、『数字ではなくシーンで説明しよう』と方針を変えました。たとえば、『繁忙期でもサイトが落ちない』『社員さんがストレスなく作業できる』『将来の拡張にも対応できるので安心』というように。

すると、お客様から『それ、まさに欲しかったんです』という反応が増えました。特に、同業他社の導入事例を話すと、『うちでもできそう』と前向きになってくださいます。おかげで、高額な上位プランの契約が増えました」

ケース3:クロージングの「型」を作って成約率が安定

【口コミ:保険代理店 経営者・55歳】

「保険の営業は『押し売り』のイメージがあって、クロージングが苦手という社員が多かったんです。『お客様を不快にさせたくない』という思いが強すぎて、いつまでも契約の話を切り出せない。

そこで、クロージングのトークスクリプトを作成しました。『もしご加入いただくとしたら、どのプランがご希望に近いですか?』『ご検討いただく上で、不安な点はありますか?』など、決まったフレーズを使うようにしたんです。

最初は機械的に感じましたが、練習を重ねるうちに自然に言えるようになりました。今では、『型があるから安心してクロージングできる』と社員も言っています。属人的だった営業が、チームとして底上げできました」


7. 契約率を継続的に高める仕組みづくり

契約率を「見える化」する

契約率を継続的に改善するには、まず現状を把握することが必要です。月ごと、担当者ごとに契約率を記録し、推移を追いましょう。

【契約率管理シートの例】

商談件数契約件数契約率前月比
1月18件4件22.2%-
2月22件6件27.3%+5.1pt
3月20件7件35.0%+7.7pt
4月25件10件40.0%+5.0pt

成功パターンを分析・共有する

契約に至った商談と、失注した商談を比較分析することで、「勝ちパターン」が見えてきます。

【分析すべきポイント】

分析項目確認内容
商談の長さ成約した商談は平均何分だったか
話の比率自分と顧客、どちらが多く話していたか
質問の数いくつの質問を投げかけたか
提案内容どのプランを提案したか
クロージングどのタイミングで決断を促したか

成功パターンがわかったら、チーム全体で共有しましょう。属人化を防ぎ、組織全体の契約率を底上げできます。

ロールプレイで練習する

トーク術は、知識として知っているだけでは意味がありません。実際の商談で使えるようになるまで、繰り返し練習することが大切です。

【効果的なロールプレイの進め方】

ステップ内容ポイント
1役割設定営業役と顧客役を決める
2シナリオ設定業種・課題・予算などを設定
3実践本番のつもりで商談を行う
4フィードバック良かった点・改善点を伝える
5再実践フィードバックを踏まえて再挑戦

週に1回、15分でも良いのでロールプレイの時間を設けることをおすすめします。

商談後の振り返りを習慣化する

商談が終わったら、その日のうちに振り返りを行いましょう。記憶が新しいうちに記録することで、次回の商談に活かせます。

【商談振り返りシート】

項目記入内容
日時・顧客名〇月〇日 / 株式会社〇〇
商談の結果契約 / 検討中 / 失注
顧客の課題ヒアリングで把握した内容
良かった点今回の商談でうまくいったこと
改善点次回に活かしたいこと
次のアクションフォロー電話 / 追加資料送付 など

8. まとめ

小さな会社が契約率を上げるための3つのトーク術を解説してきました。最後に、ポイントを整理しておきます。

【3つのトーク術のまとめ】

トーク術核心ポイント今日からできること
①ヒアリング術聴く時間を7割にオウム返しを意識する
②プレゼン術未来(After)を見せる数字で具体的に伝える
③クロージング術背中を押すテストクロージングを挟む

契約率の向上は、一朝一夕には実現しません。しかし、本記事で紹介したトーク術を一つずつ実践していけば、確実に成果は出てきます。

大切なのは、「顧客のため」という視点を忘れないことです。営業は「売り込む」行為ではなく、「顧客の課題を解決する」行為です。その姿勢があれば、自然と信頼が生まれ、契約につながっていきます。

小さな会社だからこそ、一人ひとりの営業力が会社の成長に直結します。ぜひ、明日の商談から実践してみてください。

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