「人が来ない…」小さな会社が採用できるようになる4つの方法

「求人を出しても応募がゼロ」「せっかく採用してもすぐ辞めてしまう」——そんな悩みを抱える中小企業の経営者や人事担当者は少なくありません。

2025年現在、正社員が不足していると感じている企業は全体の53.4%に達し、特に中小企業においては採用難が深刻な経営課題となっています。人手不足関連の倒産は2024年に342件発生し、2年連続で過去最多を更新しました。

しかし、採用に成功している中小企業も確実に存在します。本記事では、「人が来ない」状況を打破するための4つの具体的な方法を、実践的なノウハウとともに解説します。


目次

  1. なぜ中小企業に人が来ないのか?原因を徹底分析
  2. 方法①:求人票を「選ばれる」内容に改善する
  3. 方法②:採用チャネルを多様化する(SNS・リファラル採用)
  4. 方法③:職場環境と福利厚生を見直す
  5. 方法④:採用ブランディングで認知度を高める
  6. 採用成功企業の実例紹介
  7. まとめ:今日からできるアクションプラン

なぜ中小企業に人が来ないのか?原因を徹底分析

まず、採用がうまくいかない原因を正しく理解することが重要です。

中小企業の採用における課題

課題該当企業の割合深刻度
応募者が少ない約65%★★★★★
求める人材とのミスマッチ約45%★★★★☆
内定辞退・早期離職約35%★★★★☆
採用コストの負担約40%★★★☆☆
採用ノウハウの不足約30%★★★☆☆

大企業との採用力格差

中小企業と大企業では、採用における条件面で大きな差があります。

採用コストの違い

企業規模年間採用コスト1人あたり採用単価
大企業(1,000名以上)1億円以上約50〜80万円
中堅企業(300〜999名)3,000万〜8,000万円約80〜120万円
中小企業(300名未満)500万〜3,000万円約100〜200万円

このように、中小企業は1人あたりの採用コストが高くなりがちです。しかし、工夫次第でコストを抑えながら効果的な採用を実現することは十分可能です。

求職者が企業を選ぶ際に重視するポイント

求職者が重視する要素を把握することも大切です。

重視する要素重要度
給与・賞与★★★★★
休日・休暇制度★★★★★
勤務地・通勤時間★★★★☆
福利厚生の充実★★★★☆
職場の雰囲気・人間関係★★★★☆
仕事内容の面白さ★★★☆☆
キャリアアップの可能性★★★☆☆
会社の将来性・安定性★★★☆☆

給与だけでなく、働きやすさや職場環境を重視する求職者が増えています。ここに中小企業が差別化できるチャンスがあります。


方法①:求人票を「選ばれる」内容に改善する

求人票は、求職者が最初に目にする「企業の顔」です。ここで魅力を伝えられなければ、応募にはつながりません。

ダメな求人票の特徴チェックリスト

あなたの会社の求人票、こんな特徴はありませんか?

チェック項目問題点
□ 職種名が「営業」「事務」など一般的すぎる他社求人に埋もれてしまう
□ 仕事内容が3行以内で終わっている具体的な業務がイメージできない
□ 「やる気のある方歓迎」など抽象的な表現が多い誰に向けた求人かわからない
□ 会社の特色・強みが書かれていない他社との違いが伝わらない
□ 給与が「応相談」「経験により考慮」のみ不透明感から敬遠される
□ 空欄や「特になし」が多いやる気のない企業に見える

求人票改善のビフォー・アフター

職種名の改善例

BeforeAfter
営業【未経験OK】地域密着の住宅リフォーム提案営業/年間休日120日
事務経理事務スタッフ/残業月10h以下・17時退社OK
製造精密機械の組立スタッフ/教育体制充実・入社3年で年収400万可

仕事内容の改善例

BeforeAfter
一般事務業務全般【具体的な1日の流れ】9:00 メールチェック・来客対応/10:00 請求書作成・入金確認/12:00 昼休憩/13:00 電話応対・書類整理/15:00 データ入力・報告書作成/17:00 翌日の準備・退社 ※残業は月平均5時間程度です

求人票に必ず盛り込むべき5つの要素

  1. 具体的な数字
    • 年間休日数、残業時間、有給取得率
    • 給与の具体額(〇万円〜〇万円)
    • 社員の平均年齢、男女比
  2. 1日のスケジュール例
    • 具体的な業務の流れがわかると安心感につながる
  3. 入社後のキャリアパス
    • 「3年後にはこうなれる」という将来像
  4. 会社の強み・独自性
    • 業界内でのポジション、技術力、顧客との関係性
  5. 職場の雰囲気
    • 社員の声、写真、動画があればなお良い

求人票改善の効果(実際の声)

「求人票を見直してから、応募数が3倍に増えました。特に仕事内容を具体的に書いたことで、面接でのミスマッチも減りました」(製造業・従業員25名)

「給与や休日の数字を明確にしたら、"御社は正直でいいですね"と言われるようになりました」(サービス業・従業員15名)


方法②:採用チャネルを多様化する(SNS・リファラル採用)

ハローワークや求人媒体だけに頼っていませんか?採用チャネルを増やすことで、これまで出会えなかった人材にアプローチできます。

採用チャネル比較表

採用チャネルコスト効果が出るまでの期間向いている採用中小企業との相性
ハローワーク無料即時全般★★★☆☆
求人サイト(有料)月額5〜50万円1〜2週間中途採用全般★★★☆☆
人材紹介年収の30〜35%1〜3ヶ月専門職・管理職★★☆☆☆
SNS採用無料〜低コスト3〜6ヶ月若手・新卒★★★★★
リファラル採用インセンティブのみ随時全般★★★★★
自社採用サイト制作費のみ3〜6ヶ月全般★★★★☆

SNS採用の始め方

SNS採用は低コストで始められ、中小企業との相性が抜群です。

各SNSの特徴と活用法

SNSユーザー層特徴活用のコツ
Instagram20〜30代中心ビジュアル重視職場の雰囲気、社員の笑顔、仕事風景を発信
X(旧Twitter)幅広い年齢層拡散力が高い社長や社員の日常、業界ネタを発信
TikTok10〜20代中心短尺動画仕事紹介、社員密着、会社あるある
Facebook30〜50代中心実名・信頼性会社の取り組み、イベント報告
LinkedInビジネス層専門性重視業界知見、会社のビジョン発信

SNS採用を成功させる5つのポイント

  1. 継続的な投稿(週2〜3回以上)
  2. 社員を巻き込む(リアルな声が響く)
  3. 会社の「素顔」を見せる(キレイすぎない等身大の姿)
  4. 求職者との双方向コミュニケーション
  5. 採用情報だけでなく、日常も発信

リファラル採用の導入方法

社員紹介制度(リファラル採用)は、中小企業にとって最もコスパの良い採用方法の一つです。

リファラル採用のメリット

メリット詳細
採用コストの削減人材紹介の30〜35%に比べ、報酬10〜30万円程度で済む
ミスマッチの減少紹介者が会社をよく知っている分、適性を見極めやすい
定着率の向上知人がいることで馴染みやすく、離職率が低下
採用スピードの向上紹介ルートなので選考がスムーズ

リファラル採用の報酬相場

報酬形態金額目安支払いタイミング
入社時一括10〜30万円入社確定時
分割支給入社時+半年後で計20〜40万円入社時と定着確認後
ポイント制紹介で1万pt、入社で5万pt等各タイミング

採用チャネル組み合わせの例

パターンA:コスト最小化型

ハローワーク(無料)+ 自社SNS(無料)+ リファラル採用(成功報酬のみ)
→ 月額コスト:0円〜数万円

パターンB:バランス型

求人サイト(月5〜10万円)+ 自社採用サイト + SNS採用
→ 月額コスト:5〜15万円

パターンC:採用強化型

複数求人サイト + 人材紹介(ピンポイント活用)+ SNS広告
→ 月額コスト:20〜50万円

方法③:職場環境と福利厚生を見直す

「給与は上げられないから、人が来ないのは仕方ない」と諦めていませんか?実は、求職者が重視するのは給与だけではありません。

求職者が福利厚生で重視するポイント

福利厚生重視度中小企業での導入しやすさ
有給休暇の取得しやすさ★★★★★★★★★★
休日・休暇制度★★★★★★★★★☆
残業の少なさ★★★★★★★★★☆
柔軟な勤務時間★★★★☆★★★★★
育児・介護支援★★★★☆★★★☆☆
スキルアップ支援★★★☆☆★★★★☆
健康サポート★★★☆☆★★★★☆

コストをかけずに導入できる福利厚生アイデア

休暇関連

  • 誕生日休暇
  • リフレッシュ休暇(勤続年数に応じて)
  • アニバーサリー休暇(記念日に取得可)
  • 半日有給制度の導入

働き方関連

  • フレックスタイム制(コアタイム設定可)
  • 時差出勤制度
  • リモートワーク可能日の設定
  • ノー残業デーの実施

コミュニケーション関連

  • ランチミーティング補助
  • 部活動・サークル支援
  • 社内イベント(BBQ、忘年会等)
  • 感謝カード制度

自己啓発関連

  • 資格取得支援(受験料補助、合格祝い金)
  • 書籍購入補助
  • 外部セミナー参加支援
  • 社内勉強会の実施

福利厚生導入の優先度マトリクス

従業員満足度:高従業員満足度:低
コスト:低★最優先★<br>・有給取得促進<br>・フレックス導入<br>・ノー残業デー様子見<br>・社内イベント<br>・表彰制度
コスト:高計画的に導入<br>・資格支援<br>・健康診断充実<br>・育児支援後回し<br>・社員旅行<br>・高額な設備投資

職場環境改善の効果(実際の声)

「年間休日を105日から120日に増やしたら、応募数が1.5倍になりました。売上は変わらず、むしろ生産性が上がった気がします」(建設業・従業員30名)

「残業を減らして17時退社を推奨したら、ワーママからの応募が増えました。今では女性社員が戦力の中心です」(IT業・従業員20名)


方法④:採用ブランディングで認知度を高める

「うちの会社なんて誰も知らない」という状態から抜け出すには、採用ブランディングが効果的です。

採用ブランディングとは?

採用ブランディングとは、自社を「働く場所として魅力的」と思ってもらうための活動全般を指します。

採用ブランディングの効果

効果内容
応募数の増加会社の存在を知ってもらうことで母集団が拡大
ミスマッチの減少会社の価値観に共感した人が応募するようになる
採用コストの削減自然流入が増え、広告費を抑えられる
内定承諾率の向上「この会社で働きたい」という動機が強まる
離職率の低下入社前の期待と入社後の現実のギャップが減る

中小企業でもできる採用ブランディング施策

オンライン施策

施策内容コスト目安
自社採用サイトの充実社員インタビュー、仕事紹介、会社のビジョン30〜100万円(制作費)
SNSでの情報発信日常の様子、仕事風景、社員の声無料(人件費のみ)
採用動画の作成会社紹介、社員インタビュー、オフィスツアー10〜50万円
note等での発信社長のビジョン、働き方への考え、業界知識無料

オフライン施策

施策内容コスト目安
地域イベントへの参加地元との接点づくり、認知度向上数千円〜数万円
インターンシップの実施学生との接点、将来の採用候補育成人件費程度
会社見学会の開催求職者への直接アピール無料
業界団体での活動専門人材へのアピール会費程度

採用ブランディングの進め方(5ステップ)

ステップ1:自社の強みを洗い出す

以下の質問に答えてみましょう。

  • 他社にはない自社だけの強みは何か?
  • 社員が「この会社で良かった」と思う瞬間は?
  • 顧客から評価されているポイントは?
  • 地域や業界における自社のポジションは?

ステップ2:求める人材像を明確にする

項目具体的に記載
年齢・経験例:25〜35歳、営業経験2年以上
スキル・資格例:普通自動車免許必須、○○の知識あれば尚可
価値観・性格例:チームワークを大切にできる、新しいことに挑戦できる
キャリア志向例:将来マネジメントを目指したい方

ステップ3:採用メッセージを作成する

自社の強みと求める人材像を掛け合わせて、採用メッセージを作ります。

  • 「小さいからこそ、一人ひとりの成長にとことん向き合う」
  • 「地域No.1の技術力を、あなたと一緒に磨いていきたい」
  • 「残業ゼロでも年収400万円。働き方改革の先を行く会社です」

ステップ4:発信チャネルを決める

求める人材がいる場所で発信することが重要です。

求める人材相性の良いチャネル
20代・新卒Instagram、TikTok、学内説明会
30代中途転職サイト、LinkedIn、Twitter
40代以上ハローワーク、業界専門誌、地域紙
専門職業界団体、専門サイト、人材紹介

ステップ5:継続的に発信・改善する

採用ブランディングは一朝一夕で効果が出るものではありません。3〜6ヶ月は継続して発信し、反応を見ながら改善していくことが大切です。


採用成功企業の実例紹介

実際に採用課題を克服した中小企業の事例を紹介します。

事例A:製造業(従業員35名・大阪府)

課題

  • 求人を出しても応募がほぼゼロ
  • 「工場=3K」のイメージで若者が敬遠

取り組み内容

  • 工場内の清掃・整理整頓を徹底
  • Instagram開設、製造工程や職場の様子を毎日投稿
  • 年間休日を105日→115日に増加
  • 社員インタビュー動画を採用サイトに掲載

結果

指標BeforeAfter
月間応募数0〜1件5〜8件
平均年齢48歳42歳(新入社員含む)
離職率15%5%

「SNSで工場の"今"を見せることで、イメージが変わったようです。『清潔感がある』『社員が楽しそう』という声をもらいます」(社長談)


事例B:IT企業(従業員12名・東京都)

課題

  • エンジニア採用が困難
  • 大手や有名スタートアップに人材を取られる

取り組み内容

  • リファラル採用制度を導入(紹介報酬20万円)
  • 技術ブログを週1回更新
  • フルリモート・フレックス制を導入
  • 副業OK、週4勤務可のオプションも用意

結果

指標BeforeAfter
応募チャネル求人サイト100%リファラル60%、自然流入30%、求人サイト10%
採用単価120万円/人35万円/人
年間採用数1〜2名4〜5名

「働き方の柔軟性を前面に出したら、大手からの転職者も増えました。給与は大手に勝てなくても、働きやすさでは勝てます」(採用担当談)


事例C:建設業(従業員28名・愛知県)

課題

  • 若手の応募が皆無
  • 高齢化が進み、技術継承が課題

取り組み内容

  • 地元の工業高校・専門学校との連携強化
  • インターンシップ受け入れ(夏休み2週間)
  • 入社後3年間の育成プログラムを明確化
  • 資格取得支援制度の拡充(受験料全額補助+合格祝金10万円)

結果

指標BeforeAfter
新卒応募数0名8〜12名/年
新卒採用数0名2〜3名/年
3年定着率-(採用実績なし)85%

「学校との関係づくりに2年かかりましたが、今では毎年コンスタントに新卒を採用できています。若手が入ると職場も活性化しますね」(総務部長談)


まとめ:今日からできるアクションプラン

採用成功のためには、一つの施策だけでなく、複数の取り組みを組み合わせることが重要です。

採用改善チェックリスト

まずは自社の状況をチェックしてみましょう。

カテゴリチェック項目対応状況
求人票□ 職種名は具体的で魅力的か○ / ×
□ 仕事内容は詳しく書かれているか○ / ×
□ 給与・休日など数字は明確か○ / ×
□ 会社の強み・特色が伝わるか○ / ×
採用チャネル□ 複数のチャネルを使っているか○ / ×
□ SNSでの情報発信をしているか○ / ×
□ リファラル採用の仕組みがあるか○ / ×
職場環境□ 休日・残業時間は業界平均以上か○ / ×
□ 柔軟な働き方は可能か○ / ×
□ 社員が働きやすいと感じているか○ / ×
ブランディング□ 自社の強みを言語化できているか○ / ×
□ 採用サイト・ページはあるか○ / ×
□ 社員の声を発信しているか○ / ×

優先度別アクションプラン

今日からできること(コスト:無料)

  • 求人票の見直し・改善
  • 社内でSNSアカウント開設の検討
  • 社員へのリファラル採用制度の告知
  • 自社の強みの洗い出しワークショップ

1ヶ月以内に取り組むこと(コスト:低)

  • SNSでの定期的な情報発信開始
  • リファラル採用制度の正式導入
  • 職場環境の改善点の洗い出し
  • 採用サイトの簡易版作成(または既存サイトの改善)

3ヶ月以内に取り組むこと(コスト:中)

  • 採用サイトの本格リニューアル
  • 社員インタビュー動画の制作
  • 福利厚生制度の新設・拡充
  • 採用チャネルの効果測定と最適化

最後に

「人が来ない」という悩みは、多くの中小企業が抱える共通の課題です。しかし、本記事で紹介した4つの方法を一つひとつ実践していけば、必ず状況は改善できます。

大切なのは、**「すぐに結果を求めない」ことと、「継続する」**こと。採用は一朝一夕で成果が出るものではありませんが、地道な取り組みが必ず実を結びます。

まずは今日、求人票を見直すところから始めてみませんか?

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